魔法の使えなくなった私達は走って逃げる他なかった。
自分の屋敷の中だというのに、長い廊下を走り続けていると息が切れて足がもつれて
転びそうになる。
「セ、セラ・・・も、もう走れな・・・。はあはぁっ・・。」
「どろしーちゃんこっちです!!」
前方を走っていたセラヴィーに腕を力強くつかまれて廊下を曲がり、敵の視界から
一瞬外れた隙に、すぐ側の部屋に入り込んだ。薄暗い部屋はカーテンが閉められた
ままの、寝室だった。部屋に入ったものの身を隠せそうな場所がない。セラヴィー
は勢い良くカーテンと窓を開け放った。
「待って、いくら2階とはいえど窓から飛び降りたら下手すると骨折するわよ。」
「解っています。どろしーちゃんこの中へ!」
セラヴィーは小声でそう叫ぶと私をクローゼットの中に押し込んだ。


クローゼットはドレスが沢山かけられていて大人2人が横たわる格好で
いっぱいだった。
(せ、狭い。)
気がつくと私はクローゼットの中でセラヴィーに後ろから抱きしめられ
るような格好になっていた。普段は緩いローブに身を包み、華奢に見え
ていたセラヴィーの体は思ったよりも逞しくてそのギャップに戸惑って
しまう。
「どろしーちゃん、ちょっと太りました?」
耳元で囁く声に我に返りハッとする。
「ちょっ!変態!そんなにくっつかないでよ!」
セラヴィーの腕から逃れようと体をひねり、闇雲に手足をジタバタさせる。
「わ!どろしーちゃん、や・やめ・・!!」
慌てたセラヴィーが私の腕をつかみ、空いた片方の手で口を塞いだ。


「今は非常事態ですからっ!!」
小声で諭し、私の動きを制止した。私が動きを止めた、と同時に「がちゃっ」
とドアを開ける音がする。
コツコツコツ・・
靴音が部屋の中に入ってくる・・・。もうクローゼットの前まで来ただろう
か。私は思わず息を止めた。
しかし、足音はクローゼットを通り越し、窓際で止まった。
「ちっ、ここから逃げたか。」
そう殿は呟くと「PON!」と魔法音が聞こえ、静寂が訪れた。
1,2分息を殺して様子を伺う。殿の気配は消えたようだ。ほうきを出して
外に探しに行ったのだろう。私はようやく体を弛緩させ、大きくため息を吐
いた。すると、今まで気にならなかったバニラの香りがほのかに匂った。男
の癖にお菓子作りが大好きなセラヴィーの手のひらに染み付いている香り・
・・だ。自分の息で湿った空気はよりバニラの香りを濃厚にして、なんだか
くらっとする。
「ねぇ、もう大丈夫なんじゃない?手、離しなさいよ。」
私はセラヴィーの手で口を抑えられたまま、くぐもった声でそういった。
「しっ!まだ殿が居るかもしれません。もう少し動かないで。」
小声だが真剣な声でセラヴィーは言う。
「・・・。」
セラヴィーの真剣さに気おされて私は黙った。いつも意地悪ばかりいうけど、
なにか危険なことが起きたとき、私を守ろうとするセラヴィーはいつも真剣
だ。私が金髪であっても、そうじゃなくても・・・・。
再び静寂が訪れて1、2分・・・。規則正しい自分の呼吸音と、耳元ではセ
ラヴィーの呼吸音だけが聞こえる。心なしか、セラヴィーの息遣いが大きく
なり、私の手をつかんでいる手が熱い様な感じがする。そういえば今朝、少
し風邪っぽい様なこと言ってたっけ。心配になって、『具合悪いの?』と声
をかけようと少し体を動かすと、お尻の当たりにセラヴィーの手が当たった。
(も、もう!狭いったらありゃしない!)セラヴィーがわざと触っている訳
ではないので私は心の中でそう思っただけだった。
しかし、ちょっと待って、セラヴィーの左手は私の口を塞いで、右手は私の
腕を持っていて・・・。じゃあ、お尻に当たっているこの感触は?
「どろしーちゃん、僕はどんな姿になってもどろしーちゃんが好きなんです。好きな人に触れれば、こういう風になってしまうのはしょうがないんですよ。だから怒らないで・・・。」
私言葉を発する前に、セラヴィーは早口にそう言って、私を強く抱きしめた。
『どんな姿になってもどろしーちゃんが好き。』その言葉を反芻し、私は一
瞬怒るのを忘れていた。
セラヴィーは暗闇の中で私の顔をそっと探り、頬に手を沿え自分の体に近づ
ける。暗闇の中で温かく柔らかな物が唇に押し当てられる・・・。
セラヴィーの唇・・・だ。
「どろしーちゃんも、僕のこと、好きでいてくれますよね。」
唇が離れ、一呼吸置いた後、セラヴィーは確認するように私に質問する。
いつもだったら答えは決まっている。
だけど、『どんな姿になってもどろしーちゃんが好き。』その言葉が頭を
よぎり、今日は答えにつまる。


「き・・・嫌い・・・じゃないわよ。」
その返答を聞き、セラヴィーはクスッと小さく笑い、
「素直じゃないですね。」
ともう一度キスをした。暗闇で、顔なんか見えないけど、目を閉じて唇を
あわせていると、セラヴィーの舌が割って入ってきた。
「ん・・・」
セラヴィーの舌は口腔内で私の舌を捕らえ、唇でその舌を吸い上げ、まる
で生き物のように甘く蠢いていた。酸素が不足したのか意識が遠くなり、
頭がぼうっとする。唇が離れたと同時に大きく深呼吸するが、再び唇をふ
さがれてしまった。キスってこんなに気持ちいいものだったのかしら。頭
の隅でそんなことを思っていた時に、セラヴィーの手が胸をゆっくりとも
みしだく感触を覚える・・・。
(ちょ・・・ちょっと待って・・・)
声を出そうにも唇で塞がれている為、声は出せない。そうこうしているうち
にセラヴィーは器用にスカートをまくり上げ、下着の中に手を滑り込ませた。
(こんな時に、こんな所で?)
セラヴィーの細くて長い指がそっと太ももの付け根に触れた。人差し指で触
れるか触れないかの感触で何度か谷間を擦っていると、じれったいような、
内部が疼く様な感覚が溢れて来る。


セラヴィーはやっと唇を離した。
「っセ・・・セラヴィー、あいつに見つかるかも。」
「大丈夫ですよ。きっと外を探し回っている筈ですから・・・。」
こんな時に、こんな場所で、こんなことをしている場合ではないと・・・
頭では解っているはずなのに、セラヴィーの指の動きに、抵抗する力が奪
われていく。
次にセラヴィーは人差し指と薬指で尖った蕾の両側を押し、隠されていた
敏感な部分をあらわにした。
「っああっ!!」
電流が走ったかのような強烈な快感を覚え、思わずうわずった声が出てし
まう。人差し指と薬指で挟まれているだけでじんじんとした痺れが体の力
を奪っていき、鼓動が早くなってきたというのに、セラヴィーはあらわに
なった敏感な部分を中指でそっと引掻いた。
「いっ!」
普段外気に触れることがないそこは弱く触れられただけでも痛みを感じて
しまうくらい敏感だった。セラヴィーはもう一度そこに触れることなく、
次はその下の谷間に中指を這わした。
ぬるっという感触・・・内部から溢れ出した疼きという感覚は透明な粘液も
一緒に溢れ出させていた。セラヴィーは何度もその粘液に指を擦りつけ、中
指を十分に湿らせた。そうしている間にも私の内部からは次々に疼きが湧き
出していた。セラヴィーの中指は徐々に上へと移動し、私はまた痛みを覚悟
し体を強張らせた。と、次の瞬間、今度は痛みではなく強烈な快感が体を突
き抜けた。核を捉えたセラヴィーの指は粘液がたっぷりと尽いていて、それ
が程良い潤滑油となり、何度も何度も優しくそこを撫で付ける。


「あんっ!あんっ!あんっっ!」
指の動きにあわせ体が小さく跳ね上がり、自分の意思とは関係なく腰が
くねってしまう。
「ああ、どろしーちゃん、素直でかわいいですよ。」
生まれて初めての快感に、涙を滲ませよがってしまう私をにかけるセラ
ヴィーの声には興奮と愛しさが入り混じった響きを含んでいた。
指の動きは円を画いたりなぞったり、そのスピードも何度となく変化を
遂げたが力加減だけはその優しさを保ち、セラヴィーは執拗にそこを攻
め続けた。
「あん!ああ!あ、ダメダメ・・・。」
いつしか体の小さな跳ねは痙攣のように体をガクガクと震わせ、もう気
が変になりそうだった。体の内部の疼きはどんどん大きくなり痒いとこ
ろに手が届かないようなもどかしさと共に強烈な快感で体が高まり、自
分の顔が紅潮していくのが解った。
「どろしーちゃん、もっと力を抜いてイってもいいんですよ。」
耳元で囁かれたその声が、とてつもなくいやらしく聞こえて、ぞくっと
鳥肌が立った。
「あ、あ、あ、っ〜!」
次の瞬間、高まりは頂点を向かえ、頭の中が真っ白になり、心臓の鼓動
とはまた違ったペースで体の内部が脈動した。
「どろしーちゃん!!」
そんな私をセラヴィーはさも愛しそうに強く抱きしめ、私はその腕の中
でただただ初めての快感の波に溺れていた。