ビデオを借りたから。と誘われてセラヴィーの家を訪れていたどろしーは、セラヴィーがお茶の準備をしているのを手伝いもしないで勝手知ったるとばかりに、冷蔵庫を開けて食べ物を物色していた。
 冷蔵庫の中には、プリンが一つ。
 一人暮らしの男が、冷蔵庫にプリン入れとくなよな。と思いつつ、セラヴィーは甘党だから仕方ないか。とも思う。
 どろしーはそれを取り出し、火を見ているセラヴィーの背中越しに声をかけた。

「セラヴィー、このプリン食べていいの?」
「プリン?あぁ、もらい物ですよ。それでもよければ、どうぞ」
「なんだ、もらい物なの。今度またプリン作ってね。私、あんたの作るプリン好きよ」
「僕の作るプリン、が好きですか。僕のことは?」
「きらーい」

 サクっと言った言葉で、またセラヴィーがエリザベスとの会話(実際は独り言)でぐちぐちと言うのを聞きながら、どろしーは居間へ向かった。
 お茶を待たずに、プリンを食べ始める。
 セラヴィーが作るものよりは、もちろん劣るけれどそれなりに美味しい。手作り感のあ るコレは、一体誰から貰ったのだろうか。そんな考えが浮かんだタイミングを見計らったように、セラヴィーが声をかけてきた。

「あ、どろしーちゃん。それちなみにチャチャの友達のやっこちゃんから貰ったものですから、何か魔法薬とか入ってても知りませんよ」
「なっ!あんたね、半分以上食べてから、そういうこと言わないでよっ!」
「まぁまぁ、子供の作るものですから、何かあってもすぐ解けますよ」

 あはははー。と笑ってるセラヴィーに、クッションを投げ当てる。
 しかしセラヴィーの言う通り、子供の作った魔法薬にやられることはないだろう。これでも、世界で五指に入る魔女なのだ。魔法に対する耐性くらいは備えている。そんな自負を持って溜飲を下げたものの、残りを食べたい気持ちは失せた。
 セラヴィーの用意したお茶を飲んで、ビデオをセットする。



 身体が変調をきたしたのは、ビデオの内容がまだプロローグを終える頃だった。
 部屋が暑いわけでもないのに、身体が火照る。喉が渇く。
 お茶を飲もうと、カップに伸ばした手が震えている。

(やっぱり、何か入ってたのかしら)

 どういう効果の薬かは分からないが、原因はやはりプリンにありそうだ。
 子供の作った薬が効いてることが分かれば、またセラヴィーは人を馬鹿にするだろう。
 ビデオの途中で席を立ったら怪しまれるし、仕方ない。ビデオが終わるまでバレないように隠し通そう。
 それから家に帰って、解毒剤でも作ればいい。

 しかしすぐに、身体の火照りは下腹部に収束し、それに呼応するように疼きだした。
 どろしーの意思に関わらず、膝が擦り合わされる。途端、とろりと下着を濡らす液体が零れた。
 それまでに至って、どろしーは魔法薬が強力な媚薬であると確信した。
 隣のにゃんこハウスでぴーすかぐーすか寝ているチャチャたちとそう変わらぬ年齢のやっこちゃんが、何を考えてこんなもの作ったのか。
 でもとにかく、ビデオが終わるまでなんて悠長なことを言っている暇はない。
 一刻も早く一人にならなければ。
 ややもすれば、手が下肢に伸びてしまいそうになるのだ。

「セ、セラヴィー」
「どうしました?」
「悪いんだけど、チョット具合が悪いみたいなの。家に戻るわ」
「具合が悪い?そうですねぇ、何か顔も赤いですし…熱があるんですか?
 それとも…ねぇ、どろしーちゃん。そんな顔してると、誘ってるみたいですよ」

 頬を上気させ、目を潤ませ、唇がちょっと濡れてる。
 無意識だろうが、どろしーはセラヴィーの視線の先で唇を舐めたのだ。その仕草に、セラヴィーは喉を鳴らした。
 どろしーの食べかけのプリンの器に指を入れ、口に含む。

「やっぱり、媚薬ですね。
 どろしーちゃんってば、この前も殿の魔法薬入りのビール飲んで大変だったのに、また同じ手に自分からハマッて。懲りない人ですね」
「うるさい。大変だったのは全部あんたのせいよ」
「結構強力なものみたいですね。
 半分しか食べてないにしても、結構ギリギリの状態なんでしょう?そんなのでまだ減らず口がたたけるなんて、流石はどろしーちゃん」

 さっさと逃げればいいものを、どろしーはもう腰も立たないらしい。
 セラヴィーは楽々とどろしーの身体を押し倒して、馬乗りになる。

「セラヴィー、あんた私に何かしたら…」
「だって、このままじゃ辛いでしょう?」
「馬鹿馬鹿!絶対イヤだからねっ!!」
「はいはい静かにしましょうね」

 言いながら、どろしーの頬に手をあてる。
 指先がどうやら耳に当たったらしく、それだけで身体を震わせる。
 媚薬の効果は上々のようだ。

(まぁ、当たり前ですけどね。この僕が作ったんだから)

 そう、やっこちゃんに貰ったというのは嘘八百。
 チャチャたちがクラスメートに魔法薬が得意な友達がいることは、いつも話してくれていた。だから、彼女の名前を出しておけば、どろしーの怒りが向けられることはないだろう。と考えたのだ。
 わざわざ慣れない者が作ったようなプリンを用意するのは、中々に面倒だったけれど、おかげで警戒せずに口に入れてくれた。

 熟れた桃を口にするように、セラヴィーはどろしーの唇を塞ぐ。

 一度目は、どろしーの唇の柔らかさを思い出すためのキス。
 でも記憶の中にある彼女の唇より、もっとずっと気持ちよくて。息つく間もなくまた重ねる。
 何度かそうして啄ばむようなキスをすると、薄く塗られたどろしーの口紅は落ちていった。それなのに、彼女の唇はますます赤く、ぷっくりと腫れる。
 潤んでいた目からは、とうとう容量の限界を超えて涙が頬を濡らしている。

(どろしーちゃん、かわいー…)

 普段、強気な態度を崩さないどろしーだから余計に、こんな弱弱しい表情を見せてくれると劣情を煽られて仕方ない。
 薬も手伝って、どろしーはもう抵抗らしい抵抗はしていない。
 首元に唇を落とし、襟ぐりの深いどろしーの服の胸元まで舌でなぞる。

「ふっ……ん……」

 身体を揺らし、鼻に抜ける声を出して快感を示すどろしーを見て、セラヴィーは口の端を上げた。
 息をするたびに持ち上げられて揺れる胸を手で包む。
 服と下着の上からでも分かる、確かな質量。温かさ。柔らかさ。
 丸みにそって円を描くように揉む。どろしーが、床のカーペットをもどかしそうに引っかいた。

「やらしい……触り方、やめてよ……ヘンタイ」
「感じちゃうからですか?どろしーちゃんだって、ヘンタイじゃないですか」
「バカ……大っ嫌い……んっ・ふぁあっ!」

 『嫌い』なんて言ったおしおきに、胸の中心で固くしこりだした部分を抓った。
 弾かれたように、背中を反らしたどろしーの身体の動きに合わせて背中に腕を回して上体を抱き起こす。
 バランスがとれずに、やむをえずというところだろうが、どろしーの腕がセラヴィーにしがみ付く。
 それが嬉しくて、セラヴィーはどろしーの頬にキスをした。
 どろしーの服の背中についたボタンを外し、次いで下着のホックも外す。
 さて、直接どろしーの肌に触れよう。とした時、どろしーの腕がセラヴィーの動きを遮った。

「今さら、やめろなんて言いませんよね?」
「……あんた、ここで……ここでするの?」
「ここじゃ嫌ですか?」
「嫌……とかじゃなくて、誰か来たら……」

 セラヴィーが、どろしーとの時間を邪魔する者の進入を許すはずもない。もちろん、どろしーを家に誘い入れた時点で人の来訪を妨げるバリアを玄関に施している。
 けれど、そんなことを知らないどろしーが、来訪者の目に触れるのではないかと気にして行為に集中できないのは望ましい事態ではない。
 折角ここまで罠を張ってこぎつけたのだから、せめてこの時間だけでも自分のことだけ考えてもらいたい。

「じゃあ、何処でしたいんですか?」

 意地悪に聞いて、どろしーの反応を見る。
 目を泳がせて、瞬きし、唇を噛む。頬が更に赤くなって……何を考えているのか、手に取るようだ。
 きっと彼女は、場所を移すように要求したことで、この行為を受け入れてしまったことを恥らっている。その上で、場所を指定することに羞恥を感じて躊躇っているのだろう。
 聞き出したい気もするが、これ以上苛めるのも可哀想か。セラヴィーはそう思って、どろしーの身体を持ち上げようと体勢を変えた。

「ちょっ、待って……その、セラヴィー……」

 いきなり服を捕まれて、動こうとした身体が傾く。

「こんなの……悔しいけど、身体もどうしようもないのよ……お願い、だから……」

 どうやら、セラヴィーが動いたのをどろしーが答えない為に行為を打ち切るのだと勘違いしたらしい。
 勘違いからとは言え、どろしーから求められる言葉を聞いたセラヴィーは、ぞくりとする感覚に身を震わせる。

「じゃあ、答えて、どろしーちゃん……何処でしたいんですか?」
「……ベッドで、して」

 どろしーが言い終わるか否か。
 セラヴィーが魔法を使った反応があって、背中に柔らかな感覚が伝わった。
 抱きかかえられていた体勢から、ベッドに押し倒される体勢に変わる。
 背中から開かれた服を、お腹辺りまで引き下げられて、露になった胸はセラヴィーの手のひらで持ち上げられる。

 どろしーの胸は、指の力で何処までも形を変えるような柔らかさで、そのくせ彼女がいつもセラヴィーを拒むように指先を阻む弾力がある。
 けれど、きめ細かい肌は微かに汗ばんで、セラヴィーの手に吸い付いているようだ。
 拒んでいながら、離そうとしない。本当に、どろしーらしい。
 否。ただ、ここから手を離したくないから、そう思っているだけなのかもしれない。

「あっ……胸、やだ……」
「やだなぁ、急かさなくても全身愛してあげますよ」
「ばか・あっ……そこ、だめっ」

 左右から掬い上げて、その谷間に舌を這わせた途端に声が跳ね上がる。
 駄目と言われて、やめてあげるほど性格のいいセラヴィーではない。
 唇で軽く吸ったり、鼻先で突いたり、ほんの僅かに歯を立てたりと執拗に責める。
 胸の間が性感帯なら、胸で愛してもらうのも楽しいかもしれない。なんて、不埒なことを考えながら。

 二つの丸みの中央で遊んでいた顔を、次第に右にずらしていく。
 それに伴い、左手は胸の突起へ近づかせ、右手は身体の曲線を下がっていく。

「あ……」

 其処に触れた瞬間、声を漏らしたのはどろしーではなくセラヴィーだった。
 たっぷりとしたスカートの布を掻き分け、下着の上から触れた其処は既にしとどに濡れていた。

「どろしーちゃん、濡れてる」
「っ!」
「ふふふ。やらしー」

 特別、言葉で辱めようという気はなかったが、羞恥に染まったどろしーの顔はひどくセラヴィーを煽った。
 衝動に突き動かされるまま、どろしーの中に指を挿し入れる。

「いっ……セラ、ヴィ……待って、だめ」
「駄目って言われても、中をほぐしてあげないともっと痛いですよ」
「あっ・ん……やだっ、ぬ、いて」
「仕方ないですね」

 セラヴィーは指を離し、其処に絡んだどろしーの愛液を舐めながら、今まで指で弄っていた部分に顔を寄せた。

「何?……や、セラヴィー何してるのよっ」
「足閉じないでくださいよ。
 指が痛いなら、こうするしかないじゃないですか」



 ぬるり。
 セラヴィーの指に辱められた場所に、生暖かく湿った生き物のような感覚を受けて、どろしーは目を見開いた。
 その拍子にまた、涙の粒が頬の上を零れ落ちたが、どろしー自身にもそれがどういった涙なのか分からなかった。

「やっ、いやぁ!そんなこと、そんな……」

 どろしーの最も恥ずかしい場所に、セラヴィーが顔を埋めている。
 その状態に耐えられなくて、足を閉じようとしてもセラヴィーに掴まれた足が動かない。
 それならセラヴィーの頭を押しのけようと手を伸ばすも、力が入らずに彼の髪を引っ張る程度の抵抗にしかならなかった。

「っ……あ・あぁ……だめっ……」

 どろしーの声の変化に気づき、襞の中で蠢いていた舌の標的が変わる。
 突然に敏感な核を舐め上げられて、過ぎる快感にどろしーは身体を強張らせながら達した。

「ふぁあっ……セラ……」

 びくびくと痙攣するどろしーの身体が落ち着くのを待ちながら、セラヴィーはどろしーの表情を伺った。
 恍惚としたどろしーは、焦点の合わない目で中空を見つめている。
 涙と唾液でどろどろになった顔を拭ってやると、どろしーがセラヴィーを見つけた。

「色っぽい声で、僕のことを呼んでくれるのは嬉しいですけど。
 髪の毛引っ張るのはやめてくださいよ、禿げたらどうするんです」
「だって……あんたが、変なことばっかりするのがいけないんでしょっ」
「変なことって、どんなこと?どろしーちゃん」
「なっ……知らないっバカ」

 セラヴィーの腕の下で、どろしーが身体をうつ伏せて枕に突っ伏した。
 その反応があんまりにどろしーらしくて、セラヴィーは苦笑を漏らす。けれど、そのままどろしーの背中を見つめているつもりはない。

「続き、しましょう?どろしーちゃん」
「もう、いやっ」
「そんなこと言って、まだ満足してないでしょう?
 僕だって気持ちよくなりたいですしね」

 うつ伏せたままのどろしーの潤った場所に、指を差し入れる。
 今度は先ほどのように、痛がる様子もない。十分に濡れた其処はもう、セラヴィーを拒まなかった。
 どろしーが小さく呻いた。

「足、開いて下さいよ……もっと気持ちよくなりません?」

 くちゅくちゅと入り口の辺りで出し入れする指につれ、音が部屋を満たす。
 どろしーの息の間に漏れる声と相まって、セラヴィーの欲情を更に刺激する。
 もう、今すぐにでも彼女の中に入りたい。けれど、どろしーが許してくれないと、この先に進めない自分がいる。
 罠にはめて薬を使って、何を今さらとセラヴィーは自嘲する。

「ね、どろしーちゃん。一人だけ気持ちよくなってるなんて、ずるいですよ」
「んぁっ……もぅ、うる、さ……好きにしたらいいでしょう?」
「好きに?じゃあ、続きしてもいいんですか?」
「いちいち聞かないでっ」

 それが答え。セラヴィーは口の端を上げて、どろしーの腰を持ち上げた。

「膝、ちゃんと立てていて下さいね」

 一言添えながら、どろしーの滴りを自身にこすり付ける。
 それだけで、どろしーの腰が快感に震えた。
 背中に一度、合図のキスをしてセラヴィーはどろしーの中に一気に押し入った。

「あっ……あぁぁぁぁ」
「んっく……狭い、どろしーちゃん」
「……セラ・はぁあんっ……セラヴィー」

 中に入ってしまえば、自分を制御できるはずもなく、セラヴィーは身体が求めるままにどろしーを突き上げる。
 それだけではまだ足りなくて、もっとどろしーに触れたくて……セラヴィーはどろしーの腰を捕らえていた手で背中を撫ぜ、そのまま胸に指を這わす。
 どろしーの膝から力が抜けて、くたりとベッドに沈みかける。
 逃げ出さないようにと片腕でどろしーの肩を抑えた。
 もっと優しくしてあげたいけれど、そんな余裕はない。

「セラ……セラヴィーっ」
「どうしました」
「も…っ…」
「達き、たいですか」

 どろしーが答えるはずもないと知りながら、セラヴィーは問う。
 返ってきたのは、やはり罵声交じりの喘ぎのみ。枕に抱きついているどろしーの表情は見えない。
 それでは楽しくなくて、セラヴィーは強引にどろしーの身体を反転させようと片足を持ち上げる。

「ひぁあっ!や・だめ……これ、やだぁっ」
「横からなんて、したことないから変な、感じですね」
「ぁっ、ばかぁっ……こんなの、セラヴぃ」
「んっ……奥まで、はいる…」

 太ももを抱えて足を開かせると、どろしーの腰が反って繋がっている部分が変化する。
 突き上げるたびに、どろしーが甲高い声を上げて誘うから、セラヴィーは歯止めが利かなくなってしまう。

「あっ、もう……ホン、と……っちゃう」
「どろしーちゃん、我慢してっ」
「らめっ……セラ、もう……」

 横抱きになったことで、顔を隠すことを諦めたのか、どろしーがセラヴィーの目を見た。
 懇願するその表情があんまり可愛くて、頼まれてもすぐに解放してあげるのが惜しくなる。
 セラヴィーはどろしーを貫いていた自身を抜いた。

「何…でっ…やぁっ、おねが…い」
「どろしーちゃんに、お願いされるなんて嬉しいなぁ。
 大丈夫ですよ、ちょっと体勢変えるだけです」

 言いながら、セラヴィーはどろしーの腰を持ち上げ、身体を向き合わせる。
 互いの目が見詰め合う。どろしーの目をこんなに真っ直ぐ見たのは、いつ以来だろう。
 いつも怯えていた。その目の中に映る自分が、本当にどろしーに嫌われても仕方ない最低な男だったらどうしよう。と。
 どろしーに本当に、決定的に、嫌われていると知らされるのが怖くて、大好きな彼女の瞳も見れなくなってしまった。
 けれど、今どろしーの目には嫌悪の色はない。
 思い上がりでなければ、その目はセラヴィーを求めていた。

「どろしーちゃん」
「セラヴィー……」

 どろしーの腕が、セラヴィーの首に巻きつく。
 今度のキスは、どちらが仕掛けたものか分からなかった。ただ、お互いが負けじと舌を絡ませた。
 セラヴィーはどろしーの舌を味わいながら、再び彼女の中に入って行く。
 後はもう、衝動に任せて自身を打ちつけた。

 何度か、どろしーの中が痙攣する。
 声のトーンが変わって、セラヴィーの首に抱きついた力が強くなる。
 肩に爪が食い込む。

「んっ…セラっ……あっ、はぁ……うん・んっ…」
「…待って、まだ…っ……そんなに締め付けたらっ………」

 ぐっとどろしーのヒップを掴んで、自分の感じやすい位置に腰を動かそうとしたが、それがどろしーには刺激となったのか痙攣が激しく繰り返され、セラヴィーを強く締め付ける。
 結局、それが引き金となってセラヴィーも砕けた。


 射精の後の脱力に任せて、セラヴィーはどろしーの上に倒れこんだ。
 どろしーの髪に顔を埋めて呼吸を整える。其処から香るどろしーの体香にまた身体が反応しそうになる。

「重いっ」
「あ、ごめんなさい」

 不機嫌などろしーの声に、慌てて正気を取り戻したセラヴィーは、肘を突いてどろしーの横に転がった。
 その拍子に、どろしーと目があったがすぐに枕に顔を埋められた。
 それがどうしてか不安を掻き立てて、セラヴィーは起き上がってどろしーに問いかける。

「どろしーちゃん、大丈夫ですか?何処か痛くしました?」
「平気……」
「でも、僕結構激しくしちゃったかも」
「かも、じゃないわよ」

 不機嫌を隠さないどろしーの言葉に、セラヴィーはどうしようもなくくすぐったい気持ちに包まれる。

「どろしーちゃん、こっち見てくださいよ」
「嫌」
「照れ屋さん」
「ヘンタイ」
「ね。またしましょっか?」

 最後の言葉がいつも余計なのは、セラヴィーの特性の一つだろう。
 かくて、セラヴィーはどろしーの鉄拳を食らいベッドから落とされた。
 翌日、チャチャたちにパンダ目になったセラヴィーが質問責めにあったのは言うまでもない。