結婚したのだし、お互いにお互いを受け入れたのだから、とは思っても恥ずかしいことに変わりはないわけで、どろしーは顔を羞恥で赤く染めた。
どうしていいかわからなくて、ついいつもの癖のようにセラヴィーを軽くにらみつけた。
初夜はもう済ませてあるとはいえ、そう何度もこの行為をしているわけではない。
自分はこんなにも戸惑って、死ぬほど恥ずかしいのに、行為は突然始まる。心の準備も出来やしない。
曰く「僕がどろしーちゃんに欲情しないほうがおかしいんです」
おかしいのはあんたの頭だ。


気持ちのいい昼下がりに、二人で今のソファーでテレビを見ていたはずなのに、気付いたらソファに押し倒され、あっという間にドレスが脱がされた。
当然のように下着にも手をかけられて、どろしーは慌てて抵抗する。
抵抗が常に後手後手になるのは課題だわ、とどろしーは頭の隅で思った。
「ちょっと、こんなところで」
「二人きりだし新婚さんなわけですし。だめですか?」

言いながらも、すばやくブラの中にセラヴィーは手を滑り込ませ、どろしーの突起を軽くつまんだ。
「…っ!」
全身に電流が走るような感覚に、おびえたように身体をびくつかせる。
そんなどろしーを見てセラヴィーは、変態よろしく微笑んだ。
「やっぱり感度いいですね、どろしーちゃんは」
胸を絶妙なタッチで揉みながら(こんな行為にまで天才振りを発揮するのが憎らしくてたまらない)セラヴィーはどろしーの胸元に顔を寄せ、鼻を鳴らして息をする。
「どろしーちゃんのにおい♪」
「へ、へんたいっ!」

慌ててどろしーはセラヴィーの頭を力いっぱい遠ざけようとするが、所詮は女の力。セラヴィーを引き剥がすことは出来ない。
そうしているうちにもセラヴィーの右手はどろしーのパンティにまで伸びて、布地の上から局所を撫でるように指が動いた。
びくりと身体が震え、腹下部がうずく感覚に、どろしーは戸惑い、体温が上がる。
「や、やだ…」
「何が嫌なんですかー?」
いけしゃあしゃあと言うセラヴィーにちょっと殺意を覚えながら、どろしーは必死にこの状況から逃れられそうな言い訳を考える。

「え、と…そう、私午前中に運動したから、ほら汗臭いし、ね、汚いから…」
これは本当のことだった。
打倒セラヴィーを目標に掲げてから、日夜体力づくりは欠かしたことはない。
今日も、午前中にジョギングをして軽く汗を流していたのだ。
どろしーは期待を込めてセラヴィーを見上げる。
すると、意外なことに、相手は満面の笑みでどろしーの言葉を受け止めていた。

「そうですか。じゃ、お風呂に行きましょうね」
「は?」
「なんだー、お風呂でしたいならそういってくれればいいのに」
場所を変えてみるのもきっと楽しいですね、とあっさりと言い、セラヴィーはひょいとどろしーを抱えて立ち上がった。
「ち、ちがうわよ!そんな意味で言ったんじゃっ!」
「広いお風呂にしといてよかったですね〜」
「ちょっとー!!」


「汗かいてたんですね。僕が綺麗にしてあげますよ」
半ば強引にバスルームまでどろしーを連行すると、セラヴィーは手早くどろしーの下着を脱がせ全裸にしてしまった。
そして自分が濡れるのも構わずどろしーにシャワーを浴びせる。

「一人ではいるわよ!」
「だめです。もうその気になっちゃいましたから」
そう言って、セラヴィーはさっさと自分も衣服を脱ぎ、脱衣所に放り投げると、ぱたんと浴室の扉を閉めた。
シャワーから立ち上る湯気が密室に立ち上り、浴室に二人きりという状況を改めてどろしーは認識する。
意外にもたくましいセラヴィーの身体を直視できずに、どろしーはくるりと背を向けてタイルの上にしゃがみこんだ。

「…このヘンタイ」
「もう変態でも何でも構いませんよ。さて、身体洗いましょうね」
セラヴィーはボディーソープを手に取ると、どろしーの背後に立ち、どろしーの背中に直接それを塗りつけた。

「…!」
撫でるように、いやらしい手つきで、ボディーソープを泡立てていく。

「…あ、あん…っ…はぁん……」
セラヴィーの手は背中から腹部へ伸び、そして大きな胸を一通り愛撫した後に、肩から脇をくすぐり腕へ伸びた。
ボディーソープのぬめりと泡立ちが、普段と違う感覚を伝えてきて、どろしーの思考にかすみをかける。
まるで、浴室に漂う蒸気のように。
浴室にはどろしーの喘ぎ声と、ボディーソープが体をすべるぬちゃぬちゃという音が響いていて、その事実がさらにどろしーを煽った。

「あ、ん……っ…はっ……」
セラヴィーの緩急をつけた撫でるような優しい、けれど確実に快感を引き出す手つきに、どろしーは快感に震える吐息を抑えることが出来ない。
そしてセラヴィーの手が手首まで優しく洗いあげ、仕上げとばかりにきゅ、とどろしーの手を強く握った。

「どろしーちゃん…」
耳元で囁かれる低くかすれた音に、どろしーの体温はいやおうなく上昇した。
どろしーの背中には、相手の体温が触れ、どろしーの感情は揺れた。
どうしようもない切なさが胸に溢れ、どろしーは擦り寄るように、体重を後ろにかけた。
どうにでもなれ、と思う。
セラヴィーの息が肩にかかり、そこからぞくりと快感が脳に伝わる。

「セラヴィー…」
振り返ると、真剣な光を宿したエメラルドの瞳があって、どろしーはそっと目を閉じた。
すると、期待通りの暖かな感触が唇に降り注ぎ、長く激しい口付けを2人は酔ったように続けた。