『お疲れさまでしたー!』
『おつかれさまでしたーっ!』

更衣室で着替えながら、練習が終わったばかりでも元気のいい後輩たちを横目に
ひろみは深いため息をついていた。

(あぁ、なぜあたしはこうも胸がちっちゃいのだろう。
 1個しか年違わないのにみんな胸大きくっていいなぁ・・・と、いかんいかんひろみ!
 こんな変な目つきで可愛い後輩を見ていたら何を言われるか分からんぞ!)

ブンブンッと頭を振って邪念(?)を振り払い、やっと着替えを終えた。


『先輩』
更衣室を出ようとして声をかけられ、振り向くとそこには1つ下の後輩、英の姿がある。

「ん?英さん、どうしたの?なんか忘れ物でもしたの?」
『先輩・・・今日、着替えの時元気なかったから心配でお待ちしてたんです』
「う゛っ」
『先輩、何かあったんですか?コーチの特訓で疲れているとかそういう風には見えなかったんです』

そんな事を言われても「実は胸の大きさで悩んでたんだ♪」なんて恥ずかしくて言えるわけがない。


でも。大きな瞳で、自分をじっと見つめてくるこの子は。
お蝶婦人2世と言われる程なにか、どこか似ているこの子には素直に言えてしまいそうになる。

「ぅ〜・・・言っても笑わない?」
『はい、笑いません』
「誰にも言わない?」
『言ってはダメだとおっしゃるのなら絶対に言いません』
「あのね・・・えっと・・・そのー・・・なんだー・・・えーとだね・・・」

もじもじとしながら、なんとなしに目が英の胸と自分の小さな膨らみとを行き来する。
勘のいい英は、その目線で何が言いたいのか悟った。

『先輩、もしかして胸の大きさで悩んでいらしたのですか?』
「ぅ、うん。だってみんなすごい大きい人ばかりだし、でもあたしはほらAカップでー」
『廊下でこんな話も何ですから更衣室に戻りませんか?』
「あ・あぁ、そだね、ごめんね英さん。」

手を引かれて更衣室に戻る。

中にあるベンチに腰掛け、はーっと今日何度目か判らないため息をつく。

「こんなしょーもない悩み事なんてないよねー、たはは;」

言いながら照れて頭をかくひろみを英は見る。

(確かに、先輩は少し胸が小さいと言えば小さい方かもしれないけど
 私はそんなの関係なく先輩が大好きだわ・・・でも、不安なら悩みを取り去ってさしあげたい)

決心をつけ、キッと顔をあげる。

『先輩』
「は・はいっ!」

いつも以上に真面目な顔つきで英に声をかけられ、ひろみは戸惑う。

『私が胸を大きくしてさしあげます』
「へ?英さんがあたしの胸を大きく?」
『はい。私、先輩が大好きです、先輩がその事でお悩みなら私は私でできる事をぜひしたいんです』

心なしか、英の顔が紅くなっているのに気付かず、ひろみは圧倒されてただコクコクと頷く。

「じゃ、じゃあその方法教えてくれないかな、家でやるから」
『いえ、家で先輩がなさるのではなく私にさせていただきたいんです』
「へっ!?」